【LIVE REPORT】Royz、「16年経っても咲く花はある」――LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)SOLD OUTで迎えたワンマンツアー『幻影都市から愛を込めて』のグランドファイナル&結成16周年記念ライブ。「このバンドには夢がある、そう思わないかい?」
Royz ONEMAN TOUR 「幻影都市から愛を込めて」-FORMⅡ-
-TOUR FINAL-
2025年9月26日(金) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
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Royzが、実に半年をかけて繰り広げてきた大規模なワンマンツアー『幻影都市から愛を込めて』。その前半戦となった〈FORMⅠ〉は、4月19日のZepp Shinjuku公演で締めくくられ、7月から始まった〈FORMⅡ〉の終着地、つまり今ツアーのグランドフィナーレとなった、9月26日のLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演。この日は、2日後に控えるRoyzの結成16周年を祝う場でもあった。ライブ中、昴(Vo)は「春から始まった長い長い、そして非常に実のある旅だった」とワンマンツアーを振り返ったが、その旅のエンディングに待っていたのは、想像を上回る絶景。そして彼らは、その絶景に相応しい大輪の花を咲かせたのである。
まず、ここへ辿り着くまでの半年間でRoyzが成し遂げた“名声の飛躍”は、目を見張るものがあった。〈FORMⅠ〉のファイナル公演であったZepp Shinjukuに続いて、〈FORMⅡ〉の地方公演では過半数がソールドアウトを記録し、あまつさえLINE CUBE SHIBUYAも完全なるソールドアウトという結果を叩き出した。昴はこれらの出来事を“ビッグプレゼント”と話していたが、プレゼントを贈られるには相応の理由がある。『丸の内ミゼラブル』が火付け役となったさまざまな企画が“Royzに出会うきっかけ”を作ったことや、回数を重ねるたびにレベルアップしていくライブの魅力といったことが理由としては思い浮かぶが、そのすべての中心にいたのは他でもなくRoyzであったことは間違いない。さらに、彼らが“渋谷公会堂”と名の付く会場でのワンマンライブを行うのは10年ぶりのこと。そこへ、先述した通り結成16周年のお祝いといった要素まで付随している。ただしこの日のライブは、これらを網羅した“記念公演”の域に留まるものではなかった。むしろ、自分たちの力で出した結果を踏まえた上でしっかりと“先”を見据え、現在のRoyzがいかほどの力を持っているかを完膚なきまでに見せつけるためのライブだったように思う。
「始めようか、渋谷!」と昴の一喝と共に幕開けを飾ったのは、ツアーのシンボルソングとも言うべき『TRANSFORM』。少々危険な香りを漂わせる赤いサーチライトが無数にステージを照らす中、「派手に行こうぜ」の言葉通りに音玉が勢いよく爆ぜると、要約すればまさしく“幻影都市から愛を込めて”となるメッセージを真っ向からぶつけていく。勢いや力強さを内包しながらも、抜群に引き立つメロディーライン。キャリアに応じた進化を遂げたRoyzの主軸となる部分が響き渡っていくのを目の当たりにすると、この舞台に立つタイミングは今であるべきだったんだと思えてならない。その“今”へと通ずる、強さを纏った“変身”および“変革”に至るまで、ひたすら前進してきたことを表すような冒頭のターム。一瞬、見とれた様子で3階まである会場を見上げた昴だったが、『RAIZIN』の和旋律が鳴り出した瞬間に約2000人の観客と対峙するように眼差しを鋭く切り替えた。途中、昴の胸元を貫くように射しこんだ一筋の光は、オーディエンスの士気を高めるように呟いた「一蓮托生」という一言に込めた胸中を指し示すようでもあった。続いた『REVELATION』は、前回の渋谷公会堂公演で1曲目に演奏されていた記憶とも重なり、レベルアップした形で再び“ここ”へと連れてきたといわんばかりのプレイに胸が熱くなる。しかし感慨に浸っていたのも束の間、『Eva』ではRoyzスティックの光がフロアへ無数に灯り、晴れやかな空気へとシフトしていった。
「Royzです、よろしくお願いします」と簡潔な挨拶のあとに続いたのは、Royzのパブリックイメージをなぞり、それを強みとして凝縮したセクション。偏愛ぶりを炸裂させる『VENOM』では、頭を振り乱していた公大(Ba)が貫禄のベースソロを聞かせ、楽曲のアタックをより強める智也(Dr)のドラムといったリズム隊の大黒柱ぶりを発揮。歓声を煽りながら仕切り直すようにして、「全員で行くぞ!」と『クロアゲハ』へと繋ぐ流れはボルテージがアガらないはずはなく、メンバーに向き合うときには無邪気な笑顔を見せる杙凪(Gt)に至っては、ギターソロを弾き倒す場面や『クロアゲハ』の終盤でボーカルにユニゾンする部分で渋いトーンの音へと切り替えるといった、信頼のおけるギタリストぶりを覗かせる部分がニクいところでもある。『疾風迅雷』ではタオルが旋回すると同時に観客が右往左往すると、一層ステージ上もアグレッシヴさを増して、昴がかましたロングトーンが絶好調ぶりを象徴的に見せつけた。そして、「“シックスティーン”(16年)バンドをやってるから、これまでずっと好きだった人はもちろん、いろんな出会い方をしてくれた人もいて。みんなに出会えて、とっても幸せです」と昴が伝えて披露したのは、ご存じ『丸の内ミゼラブル』。ノスタルジックに慕情を描きだす強みは『紫苑』でも大いに発揮され、艶のある表現力はよりせつなさを掻き立てていく。そして、「全部正直に歌うから、全部聞かせてほしい」とタイトルコールをした『君に手向ける一輪の嘘』は、〈FORMⅡ〉開始直前に配信リリースされた楽曲で、最新の思いを伝えるものとなった。
ラストスパートを強調して、「俺たちとオマエたちの“アンチテーゼ”だ!」とお決まりの合図から、“もう迷わないよ”と歌い合うことで主張を確かめ合った『ANTITHESIS』では、まるで心を一つにするかのように4人がおもむろに中央へ向き合う場面も。ここで生み出された結束力は、ヘッドバンキングの嵐を巻き起こした『Jack the Ripper』で熱気を最高潮へと押し上げ、終盤に一際光を放っていたのは『NOAH』。目を向けるべきは、過去ではなく今。楽しいことも、時には目を背けたくなるほど沈んだこともあったすべての過去を力に変えて、少しずつ強固になってきた自分たち自身と、目の前にいる守るべきすべての人を救うための“船”を時を経て作り上げたことを証明するかのようなワンシーンだった。こうして、「行こうか、最高の結末へ!」とラストに贈られた『AFTER LIFE』。“終末”を歌う曲でもポジティブさを感じることができたのは、巨大なスクリーンに映る清々しいまでにキラキラと輝いていたメンバーの姿が、未来への突破口を掴んだことを感じさせてくれたからかもしれない。
アンコールでは、先に登場した智也が「圧巻!」と目の前の景色を絶賛し、公大は16周年を迎えたことを受けて「皆さんのおかげで長くて濃い日々が過ごせました。(メンバーとは)仲が良かったときも、口をきかなかったときもあったけど……。今は、家族のような関係になれました」と話した。そこへ登場した杙凪は、ツアー中と同じテンション感で「昨日は、中の上のお肉を食べた」と、らしさ満載で笑いを誘った。しばしハートフルな空気が流れるも、昴は「全員まとめて、未来へ行きたいと思います」という意気込みに加えて、長くバンドを続けてきたからこそ“頑張れば夢が叶う”という綺麗事ばかりではない現実をわかった上で、「それでも未来を信じたくなるようなバンドでいたい」と力を込めて言葉を届けていた。そして、1年に1度しか演奏しない結成記念を祝うためのバースデーソング『Anniversary』を始め、『SOUTHERN X -サザンクロス-』『キュートアグレッション』を挟み、いよいよライブも佳境に差し掛かったところへ投下したのは、「夢をみよう。このバンドには夢がある、そう思わないかい?――行くぜ俺たちの下剋上人生!」と爆発的な勢いを持った『GIANT KILLER』だった。
「16年前、何にもなれなかった、誰にもなれなかった、僕たちの花を咲かせてくれて、どうもありがとう。――咲かせてくれたから、次はこっちの番です。あなたの願いが咲きますように。あなた自身が、咲きますように」と願いを込めるように、ライブを締めくくる1曲に選んだのは、『宇宙に咲く花』。今回のツアーを経て生まれた思いを込めた楽曲は、「大丈夫、いってらっしゃい」と優しく背中を押す言葉を添えて届けられた。終わりにして始まり、この日のフィナーレは、ここからまた始まっていくために起こしたRoyz的ビッグバンだったとも言えよう。
昴はステージの去り際に、「この人生を使ってくれ、この為に生まれたんだ」とそっと口にした。これは『TRANSFORM』の歌詞にもある言葉だったが、その真意はRoyzに出会ったすべての人を幸せにしていくという決意のようなものだったと想像する。そのためのアクションが、アンコール前に映像を使って続々と発表された。まずは、12月6日に29枚目のマキシシングルのリリースが決定。さらに、Royz×甘い暴力 2MAN TOUR 「ちちんぷいぷい。」が有言実行の如く開催される。そして、まさしく“2025年のお礼を伝えるためのツアー”として行われるONEMAN TOUR 『-二〇二五御礼行脚-「幻影都市で君と生きる」』と、恒例と化しているCOUNT DOWN LIVE 「GOD FES」開催の発表もあったが、中でも注目すべきは、“号外”として発表された「#Royzって誰なん?」と題されたフリーライブだ。12月23日には地元である大阪・なんばHatchでも行われるが、11月3日の豊洲PITで行われるフリーライブには、バンドにとって最強カードともいえる “重大発表”が掲げられている。
「16年経っても咲く花はある」――大きな結果と、ライブを通して示した攻めの姿勢を総評しても、間違いなく“素晴らしい”という太鼓判を押せるライブだった。しかし、ここをRoyzというバンドのクライマックスとして位置付けるのはナンセンスだということも同時に伝えておきたい。さあ、花が咲いてからが本番だ。ここから始まる大スペクタクルに期待しよう。それだけの力が、Royzには確かにあるのだから。
Photo◎上溝恭香
Report◎平井綾子
[SET LIST]
- TRANSFORM
- RAIZIN
- REVELATION
- Eva
- VENOM
- クロアゲハ
- 疾風迅雷
- 丸の内ミゼラブル
- 紫苑
- 君に手向ける一輪の嘘
- ANTITHESIS
- Jack the Ripper
- NOAH
- AFTER LIFE
EN1. Anniversary
EN2. SOUTHERN X -サザンクロス-
EN3. キュートアグレッション
EN4. GIANT KILLER
EN5. 宇宙に咲く花
[リリース情報]
Royz 29th maxi single「タイトル未定」
2025年12月6日(土)3type同時発売
■Atype【初回限定盤】CD+DVD
1,980円(税抜価格1,800円)/BPRVD-514
JANコード:4582281541480
CD2曲+DVD「タイトル未定」MV・メイキング
1.タイトル未定
2.タイトル未定
■Btype【初回限定盤】CD+DVD
1,980円(税抜価格1,800円)/BPRVD-515
JANコード:4582281541589
CD2曲+DVD
(Royz ONEMAN TOUR 「幻影都市から愛を込めて」-FORMⅡ–GRAND FINAL-9月26日(金)LINE CUBE SHIBUYA~Royz 16th Anniversary~ライブ映像マルチアングル)
1.タイトル未定
2.タイトル未定
■Ctype【通常盤】
1,650円(税抜価格1,500円)/BPRVD-516
JANコード:4582281541688
CD2曲+ボーナストラック1曲+インスト3曲
1.タイトル未定
2.ANTITHESIS(Re-Recording)
3.宇宙に咲く花
4.君に手向ける一輪の嘘
5.タイトル未定inst
6.ANTITHESIS(Re-Recording)inst
7.宇宙に咲く花inst
8.君に手向ける一輪の嘘inst
★全タイプ共通封入特典:トレカ2枚(全8種)
[LIVE情報]
■Royz FREE LIVE「#Royzって誰なん?」
11月03日(月・祝)【東京】豊洲PIT[重大発表あり!!]
12月23日(火) 【大阪】なんばHatch
■Royz presents Royz×甘い暴力 2MAN TOUR 「ちちんぷいぷい。」
11月21日(金) 【滋賀】滋賀U★STONE
11月23日(日) 【兵庫】神戸Harbor Studio
11月24日(月・祝) 【大阪】GORILLA HALL OSAKA
11月30日(日) 【東京】Veats Shibuya
■Royz ONEMAN TOUR 『-二〇二五御礼行脚-「幻影都市で君と生きる」』
12月14日(日)【東京】赤羽ReNY alpha
12月20日(土)【宮城】仙台darwin
12月27日(土)【大阪】梅田バナナホール
12月28日(日)【愛知】NAGOYA ReNY limited
■Royz Presents 2025-2026 COUNT DOWN LIVE 「GOD FES」
2025年12月31日(水)【神奈川】川崎CLUB CITTA’