インフレ局面を迎える中、安易に値上げをすれば顧客を失いかねず、価格を据え置けば利益は削られる。多くの企業にとって、今、「価格戦略」は最も重要な課題の1つだろう。当連載は、製品の販売価格をマネジメントする「価格支配力」により、高い利益率と成長を両立させるマーケテイング戦略、価格戦略について解説した書籍『価格支配力とマーケティング』(菅野 誠二、千葉 尚志、松岡 泰之、村田 真之助、川﨑 稔著/クロスメディア・パブリッシング)から一部を抜粋・再編集してお届けする。第1回は、クラフトビール市場を拡大するキリンビールの事例をもとに、顧客のインサイトを捉え、顧客価値を創造するイノベーション手法「カテゴリーずらし」をひも解く。